【ラノベ】パパのいうことを聞きなさい!

感想

4人の家族の努力の物語

大学1回生の主人公が、姉が事故で行方不明(死亡扱い)になったことにより、姉の娘である3人の娘を引き取り、家族4人と、心温かい人たちに支えられ、少しずつ成長していく話です。

本作は、人生で起こりえる不幸、幸福。そういうものを丁寧に書かれていき、世間一般的に見たら不幸なはずなのに、そんな中でもただ日常を守るということを主軸に、小さな事件から大きな事件。それらを家族で解決していくというのが非常に心温まりながら読めました。

家族構成が少し複雑

主人公である瀬川 祐太と実際に血がつながっているのは三女である、ひなだけです。
しかし姉妹たちはそれぞれが大好きで仲良しです。

小鳥遊 空(長女)→小鳥遊家パパと1人目の奥さんとの子供(奥さんとは死別)
小鳥遊 美羽(次女)→小鳥遊パパと2人目の奥さんとの子供(奥さんは祖国の状況が悪くなり家族のために国に帰り離婚)
小鳥遊 ひな(三女)→小鳥遊パパと3人目の奥さんとの子供(この奥さんが主人公の実の姉)

巻数は非常に多い

全18巻と、afterが1巻。最終的にそれぞれ以下のように時間が過ぎていきます。
瀬川 祐太(主人公):大学生1回生→社会人
小鳥遊 空(長女):中学生→社会人
小鳥遊 美羽(次女):小学生→大学生
小鳥遊 ひな(三女):幼稚園→小学6年生

最終的には祐太と空が18巻で結婚。afterで出産までいくので、本当に人生そのものを描いたといった作品に感じられました。

周りの人を助けて、助けられて生活していく日々

作中では色んなキャラが出てきます。
多すぎず、しかし少なすぎずといった登場人物の多さ。
作中で、何回か不穏なキャラが出てきたかと思っても、すぐにフェードアウトして、周りには優しい人物ばかりが集まってきます。

それも、主人公たちの辞書に諦めるといった言葉がなく、そんな姿に皆が励まされ、助けてあげたいと考えるからだと思っております。
実際、主人公や姉妹たちは、どんな不幸が来ても、責任を誰かのせいにせず、自分たちの問題として真摯に向き合ってきました。それが非常に好ましく思えました。

老犬じゅーべーとの出会いと離別

作中で、とある理由により老犬じゅーべーを引き取ることになりますが、作中内で約半年で老衰で死亡します。
実際、犬で20歳を超えていて、病気もせずに家族に見守られながら息を引き取るというのは、死別の仕方としては非常に幸福だと思います。

私も犬を飼っていますし、過去には死別もしております。
1匹目は病気で10歳で死んでしまいました。大学時代の時だったのですが、その日は心が空虚だったのを今でも覚えています。
そして現在の愛犬も、現在15歳。この子は15歳にしては元気な方で私もまだ安心しているのですが、そうはいってもおそらく5年もたてば確実に死別をすると思います。

そのため、私にとっても他人事とは思えず、どうしても感情移入して読んでいました。

作者は故人

最終巻であるafterのあとがきを見て驚きました。
作者である松智洋さんは2016年5月に故人となっていたそうです。そして闘病中も執筆をつづけていた成果として2016年7月に最終巻が発売されたそうです。
こんなにも優しい物語を描いた人が死去していたのは非常に残念です。

カトラス
カトラス

久しぶりに紙媒体で本を読みました。
非常に感情移入しやすい作品なので、読み直しはしばらく先にします。

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